☆読書☆森博嗣【詩的私的ジャック】

管理人が読んだ小説やマンガの中から、オススメっぽいのを徒然に書き残していく新コーナー(?)。

 

3本目は、森博嗣【詩的私的ジャック】(講談社)です。

作者のデビュー4作目ですね。

推理マンガは読むけど推理小説を読んだことがない人に読んでもらいたい、かな。

比較的サラッと読めるのではないでしょうか。

 

冒頭、大学内の密室で女性の死体が発見されます。

犯人は、女性を絞殺したあと、死体に傷をつけて逃走した模様。

そして、二か月後。

別の場所で、同様の死体が発見されます。

 

『密室殺人』であり、死体に傷をつける『猟奇殺人』であり、『連続殺人』の可能性も高い…という、ミステリー小説にありがちな要素を盛り込んだ事件になっています。

 

ただ。

 

密室と聞けば、某マンガなら『じっちゃんの名にかけて!』となるし、某アニメなら『真実はいつも一つ!』となる場面ですが、この小説では、あっさりと密室工作の手法が明示されます。

『じっちゃん』系なら、密室にすることで『犯行が不可能だから犯人を特定できない』という展開になって、盛り上がってくるのにねえ。

 

そもそも、本作の探偵役である【犀川創平先生】、全くやる気がありませんw

事件への興味もなく、もちろん現場にも行かず、フツーに授業をしています。

海外に出張もするし、東京に出張もします。

 

ストーリーを引っ張るのは、【犀川先生】の教え子である【西之園萌絵】。

どうやって解決していくのでしょうか?

…というストーリー。

 

さて。

 

森博嗣の作品は、デビュー作からリアルタイムで読ませてもらいましたが、とにかくもう、発刊ペースが尋常じゃありませんでした。

赤川次郎も凄いと思いますが、本業が別にあったことを考えると『他に類を見ない執筆スピード』だと思います。

 

デビュー以来、いくつかのシリーズが発刊されています。

【犀川先生】と【萌絵】がメインの【S&Mシリーズ】のほか、【Vシリーズ】【四季4作】【Gシリーズ】などなど。

物語の伏線が作品を跨いで張られていたり、ある作品とある作品が対になっていたりするので、可能なら、発行順に読むといいかもしれません。

ちなみに、【萌絵】は、【すべてがFになる】では大学1年生で、【φは壊れたね】ではD2(博士課程2年)になっています。

 

書評などでは『理系ミステリー』なんて括りかたをされていますが、哲学的でもあるし概念論的でもあるので『むしろ文系じゃねーの?』って思います。

理系と文系に分けること自体に意味がないと言っていたのは、作者だったか作中の登場人物だったか。

まあ、学術書ではないので、登場人物の難解なセリフは、適当に斜め読みしておいても問題ないです。

 

また、作風と言えるのかわかりませんが、トリックとは違う場面でのミス・リード(ミス・ディレクション)を常に狙ってきます。

 

たとえば、登場人物が『犀川先生、こんにちは』と話すとします。

読者は、当然【犀川先生】=【犀川創平】と思って読み進めます。

でも、実際は、縁もゆかりもない別の【犀川先生】だった…みたいなミス・リードです。

こういうのが、ストーリーの本筋に影響がないところでガンガン仕掛けられてきます。

 

ミス・リードに気づかなくても全く支障はありません。

管理人も、作者の仕掛けのほとんどに気づいていないと思われます。

 

違和感もなく読んでいて、ふと、『あれ?これ、何かおかしくない?』って感じることを…作者は、こっそり待っているような気がします^^