☆読書☆中山七里【さよならドビュッシー】

管理人が読んだ小説やマンガの中から、オススメっぽいのを徒然に書き残していくコーナー。

 

6冊目は中山七里【さよならドビュッシー】(宝島社文庫)。

第8回【このミステリーがすごい】大賞受賞作品だそうです。

ドビュッシーは100年前の作曲家の名前。

 

音楽がテーマになっているマンガは、少ないながらも、それなりにあります。

パッと思いつくだけでも、【TO-Y】【EXIT】【いつもポケットにショパン】【ピアノの森】【NANA】【のだめカンタービレ】【BECK】【四月は君の嘘】【ましろのおと】【BLUE GIANT】…。

でも、音楽がテーマになっている『小説』は珍しいような気がします。

 

 

全身大火傷をした少女が、ピアニストになることを誓い、コンクールを目指す…というのがストーリー。

作中で3人ほど亡くなりますし、遺産相続の絡みで少女が何者かに狙われますし、そういうミステリー要素もあるんですけど…障害を負った少女が生まれ変わっていく過程の方が、読んでいてゾクゾクします。

ミステリー小説として読むよりも、青春ものと思って読むほうが断然おススメです。

ミステリー小説的トリック自体は、ビックリするようなものではありません。

 

 

物語の終盤、少女がピアノを演奏するシーンがあります。

管理人はドビュッシーを知りませんでしたし、当然、曲のイメージも湧きません。

そもそも、クラシックなピアノ演奏すら満足に想像できないレベルですが、それでも、この演奏シーンは感動的です。

 

これを映像化するのは無謀な気がしました。

どんな視聴者でも問答無用で感動させることができる圧倒的な演奏がなければ、この作品のラストは成立しないでしょうから。

作者の文才と読者の想像力があれば、どんな演奏でもイメージできる…ってのが小説の素晴らしいところですね。

 

ちなみに、読後にドビュッシーの【月の光】などを聴きましたが…まあ、聴いても聴かなくても、作品の面白さは変わらないと思いますw

 

ここからは蛇足。

読む前からミステリー小説だとわかっていると、どうしてもそういう視点で読み進めてしまいます。

ここらへんが、ミステリー小説のジレンマでしょうか。

これが司馬遼太郎や村上春樹などによって書かれたものだったら、もしかしたらトリックに引っかかったかもしれません。

とはいえ、今作のトリックは、個人的にはルール違反と思っていますが。

 

ミステリー小説としての巧緻はともかく、小説としてはやっぱり面白いと思うので、ここで紹介しました。