☆読書☆田中芳樹【アルスラーン戦記】

田中芳樹の【アルスラーン戦記】が、やっと完結しました。

まあ、個人的には『完結しないよりはマシ』と『完結しないままのほうがよかった』の中間くらいの気持ちですが。

今から読むなら、前半だけ読むことをお勧めしますw

 

 

以下、毒を吐いています。

 

 

1巻が出版されてから30年だそうで。

管理人が読みだしてから…28年くらいかな?

…30年で15巻。

グイン・サーガを少しは見習ってくれと思っていましたが、でもまあ、2年に一冊ペースでも面白ければ全く問題ありません。

面白ければね…(ため息)。

前半は面白かったのにねえ…(深い深いため息)。

 

この作品は、巻ごとに漢字四字のサブタイトルがついております。

【落日悲歌】とか【王都奪還】とか。

それになぞらえて管理人がこの作品全体にサブタイトルをつけるとしたら…【竜頭蛇尾】か【才能枯渇】あたりでしょうか。

いや、ホント。

物語の前半と後半を比べると、同じ作家さんが書いたものとは思えないくらいの落差を感じます。

こんなラストを読みたくて読み始めたんじゃないんだけどなあ

 

 

面白い・面白くない以前に、前半では感じなかった違和感がありました。

それは、登場人物の死にかた。

 

例えば【銀河英雄伝説】でも多くの登場人物が死んでいきましたが、主役も端役も、その人物の生きかた・生き様が感じられる演出を伴って退場していきました。

哀愁、追憶、憤怒、遺恨…いろんな感情を読者や登場人物に感じさせるために『死ぬべくして死ぬ』わけですな。

 

今作でもラストに向けて登場人物が片っ端から死んでいくわけですが、そこらへんの演出が物語の前半と後半では違います。

今作の後半は、登場人物の退場の仕方が非常に淡泊で、ストーリー的盛り上がりにつながりません。

『ウソ?今ので死んじゃったの?』って混乱するレベル。

これ、昔、安能務の【封神演義】を読んだときにも感じたものです。

後半開始早々、敵役のパートナーが何のストーリーも生み出さず死んでしまったり、冒頭から登場していた物語のカギになりそうだった人物が意味なく退場してしまったりと、なにやら不穏な感じはしていたのですが…まさかメインの登場人物すらあっさり死んでいくとは!

あるメインのキャラは、無言のまま切り伏せられてしまいますし、あるメインのキャラは、主を敵前に残していくにもかかわらず満足そうに死んでいきますし…いろいろがおかしいんです。

前半が終わって後半が始まるまでの間に、作家としての考えかたが大きく変わってしまったんでしょうかね。

 

 

この作中世界の民衆や歴史家は、激動の混乱期を治められなかったアルスラーンのことを解放王とは呼ばないはず。

血筋も制度も残せなかったので、下手すると王とすら呼ばないかも。

その一点から言っても、最初の構想とは全然違うカタチで着地をしてしまったんじゃないかと勝手に想像しています。

奴隷制度を廃止し、人種・性別を問わず登用し、周辺国との無益な戦争を否定し、異なる宗教を許容し、様々な人種が共存し、陸上公路と海上公路を整備して繁栄した、かつての敵国の女性を皇妃とするアルスラーンの治世ってのを読んでみたかったですね。

ああ、残念。